コロナウイルスが原因での外出制限がやっと解消されてきましたが、元の生活にはまだまだほど遠く同じ様にいかない事が多いですね。
外出機会が減少したことで運動不足を実感されている方も多いと思います。
今回は巷にあふれる筋力低下を表すカタカナ語について定義、違いの説明を簡単にしてみたいと思います。
お医者さんに専門的な言葉を言われて戸惑う事は誰でも経験があると思います。
そんな方に少しでも役に立つように用語解説を行なって参ります。
ロコモティブシンドロームって何?
TVなどで「片足立ちで靴下が履けないとロコモだよー」ってCMを耳にしたことのある方も多いと思います。
ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは、移動機能の低下をきたし、進行すると介護が必要になるリスクが高い状態のことを言います。
日本整形外科学会では現在の移動機能を確認するための指標として2013年にロコモ度テストを発表し、続いて2015年にはロコモ度を判定する臨床判断値を発表しました。
ロコモ度テストは立ち上がりテスト、2ステップテスト、ロコモ25からなります。
まず立ち上がりテストは、10cm、20cm、30cm、40cmの4つの高さの台を準備し、着座位から片脚または両脚で立ち上がれるかどうかで脚力を測るテストです。
2ステップテストは、できるかぎり大股で2歩歩き、2歩分の歩幅を測定し、身長で除して2ステップ値を算出します。
2ステップ値により、下肢の筋力、バランス能力、柔軟性などを含めた歩行能力を評価します。
ロコモ25(問診票)は、過去1ヶ月の間に体の痛みや日常生活の困難がなかったかどうかについての25項目の質問からなり、ひとつひとつの問診項目について、ひどく痛い・ひどく困難など(4点)~痛くない・困難でないなど(0点)の評価値が与えられ、それらの単純加算により、0(最もよい状況)~100点(最も悪い状況)の得点がつけ評価します。
ロコモ度テストにより、ロコモ度1、ロコモ度2の二つのステージの判断をします。
その臨床判断値は以下の通りです。
1)ロコモ度1
①立ち上がりテスト:片脚で40cmの高さから立つことができない
②2ステップテスト:1.3に達しない
③ロコモ25:7点以上
①~③のうちひとつでも該当すれば、その対象者はロコモ度1該当と判定され、移動機能の低下が始まっている状態と判断されます。
2)ロコモ度2
① 立ち上がりテスト:両脚で20cmの高さから立つことができない
② 2ステップテスト:1.1に達しない
③ ロコモ25:16点以上
①~③のうちひとつでも該当すれば、その対象者はロコモ度2該当と判定され、移動機能の低下が進行している状態と判断されます。
日本整形外科学会では現在ロコモ チャレンジ!推進協議会としてHPにて予防や知識拡大を行なっております。
興味を持った方はそちらも是非参考にしてみてはいかがでしょうか?
サルコペニアって何?
サルコペニアとは加齢や疾患により筋肉量が減少することで、全身の筋力低下または身体機能が低下することです。
転倒やふらつきなどの原因になり、寝たきりになる可能性も出てきます。
サルコペニアの診断基準
・日本ではアジアのワーキンググループ(AWGS)が提唱する診断基準の使用が推奨されています。
■診断基準
①筋肉量減少:専門的装置を使用し骨格筋量を測定します。
男性7.0kg/㎡未満
女性5.4kg/㎡未満または5.7kg/㎡未満(測定方法により異なる)
②筋力低下:握力を測定します。
男性28kg未満 女性18kg未満
③身体機能の低下:3つの項目のうちひとつ
●6m歩行速度 1m/s未満
●5回椅子立ち上がりテスト 12秒以上
●SPPB(身体能力のテスト) 9点以下
①+②または①+③に該当する方は サルコペニアです。
もしかしたら、サルコペニアかも
●指輪っかテスト 親指と人差し指で輪っかを作り、ふくらはぎの一番太い部分にはめてみます。
指で囲めなかったり、隙間ができる場合はサルコペニアの疑いがあります。
ふくらはぎの太さ:男性34cm未満 / 女性33cm未満
●握力と5回椅子立ち上がりテストが診断基準にあてはまる。
握力が男性26kg、女性18kgを下回る場合はサルコペニアの疑いがあります。
フレイルって何?
身体能力が低下するフレイル
フレイルとは「加齢により心身が老い衰えた状態」を言います。
シニアの低栄養やサルコペニアを起因として疲労、活力低下、筋力低下から身体機能の低下、活動の低下につながっていきます。
脳卒中などのケースを除き、シニアの多くはフレイルの状態から段階的に寝たきり、要介護状態になると考えられています。
フレイルを理解し、予防に努めることが健康寿命を延伸するためにも大切です。
■フレイルの定義
- 体重減少
- 主観的疲労感
- 日常生活活動量の減少
- 身体能力(歩行速度)の減少
- 筋力(握力)の低下
1〜2項目あてはまるとフレイル前段階、3項目以上はフレイルと考えられます。
フレイルが持つ多面的な側面
・フレイルの問題は低栄養やサルコペニア、転倒の増加、口腔機能の低下など身体的な側面だけではありません。
判断能力の低下、認知機能の低下、抑うつなどの精神的側面や閉じこもり、孤食、コミュニケーションの減少など社会的側面もあります。
これら多面的な側面がそれぞれ重なり合い影響を及ぼしているので、フレイルは総合的に考えなければなりません。
フレイルの予防、改善には早期発見が重要でさらに、ひとつの側面だけではなく、包括的にアプローチすることが必要になります。
まとめ
とても簡略的に解説してきましたが言葉の違いが少しは御理解頂けたでしょうか?
単純に筋力低下と言っても現代では様々な言葉が存在し定義が異なります。
違いを少しでも知っていると予防や改善につながると思います。
もし御家族で筋力低下が気になる方がいらっしゃいましたら当医院へご来院ください。
また当磯村医院では月に一度千秋公民館にて【いきいき倶楽部】という体操教室を行なっております。
コロナウイルスにて長らくお休みさせていただいておりましたが7月より感染予防、対策を行い再開させていただきます。
参加費は無料ですが、申込制となっておりますのでご興味のある方はぜひご参加ください。
お問い合わせ先 いきいき倶楽部 070-2234-6094
リハビリ
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