訪問看護をもっと身近に感じてもらいたい 

訪問看護

訪問看護と聞くと、皆様はどのようなイメージをされるでしょうか。

よく、訪問看護について

    • 寝たきりの方のお世話ですよね
    • もうすぐ亡くなる方のお世話ですよね
    • 注射や点滴が必要のない人には来てもらえないですよね

などと言われることが多くあります。

きっと多くの方は、入院する程の重症な患者さんの家に看護師が出向き、医療行為をしている姿を想像されると思います。

その通りでもありますが、実際にはそのような方々以外にも、もっと多種多様な方々のところへ訪問させて頂いています。

今回はこのコラムを通じて少しでも訪問看護について知っていただけたらと思います。

訪問看護の仕事内容については後程説明させて頂きますが、まずは訪問看護が必要とされるようになった背景について説明させていただきます。

なぜ訪問看護が増えてきたのか

訪問看護

現在から100年前、多くの世帯が、親子だけではなく祖父母などの近親者と共に生活をする『拡大家族』でした。

その後、徐々に親子のみで構成される『核家族』で暮らす世帯が多くなってきました。

この変化によって人々の生活様式が大きく変わり、それに伴って親の介護に対する様式にも変化が生まれてきました。

自宅で親の介護をすることが当たり前と考えられていた時代から、親の介護を病院や施設に任せる時代へと変わっていったのです。

多くの方が介護施設を希望するようになりましたが、介護施設の数は足りませんでした。

介護施設に入れず、自宅での介護もできない。

つまり、病院に入院し続けるしかない。

このような状況の方が増えることにより、 病院に支払う医療費が増え、その医療費の一部を負担している国や自治体の財政が困窮することになりました。

それが社会的問題となり、病院から在宅医療への移行を後押しする制度を国が定め、在宅での医療を提供する訪問診療や訪問看護が多く必要とされるようになりました。

その後、 2000年に創設された『介護保険制度』の導入に伴い、さらに訪問看護の需要が急増しました。

訪問看護の需要の急増については、 1993年に全国で277だった訪問看護ステーションの数が、2019年4月には10418へと増えているのを見ればわかると思います。

このようにして訪問看護が注目され、必要とされるようになってきたのです。

要支援状態と要介護状態

先ほど『介護保険制度』という言葉を出しましたが、『介護保険制度』とは何かご存知でしょうか。

簡潔に言えば、 介護が必要になった高齢者を社会全体で支える制度で、その支える方法の一つが、訪問看護です。

『介護保険制度』では制度の対象者を、要支援状態と要介護状態の2種類に分けており、

それぞれ状態は、
要支援状態
日常生活を営むのに支障がある状態であり、今の状態を改善又は維持するための予防給付を利用できる状態。

要介護状態
継続して常時介護を必要とする状態であり、介護給付を利用できる状態。

となっています。

訪問看護は、世間一般的に、要介護状態の方の家ばかりを訪問していると思われがちですが、実際は、要支援状態の方の家への訪問の方をより多く行っています。

要介護状態にならないための医療が重要であると考えられているからです。

しかし、まだその考えは世間に浸透していないのが現状です。

要支援状態の方へ訪問看護がどのようなことを行っているのか、想像できない方もいらっしゃると思います。

私達訪問看護師は、その方の基礎疾患や病歴、生活スタイルに合わせて、介護予防、筋力低下予防、認知機能の低下予防などを目的としたケアを提供しています。

具体的には、トランプ等を使用して、記憶力を高めるトレーニングを行ったり、一人で出歩けない方と共に散歩をしたり、頭と体の両方を使うような体操をするなど、要介護状態にならないように、その方らしい生活を自宅で送れるように支援していくのが私達の仕事です。

認知機能の低下を予防するために

 

要支援状態の方のケアで、 私達の訪問看護ステーションが今最も力を入れているのが、認知機能の低下予防です。

厚生労働省によると、 2025年には65歳以上の高齢者の約5人に1人は認知症になると言われています。

認知症は決して他人事ではありません。認知症は何もしないとどんどん進行し、日常生活を送ることが困難になってしまいます。

そこで私達は、物忘れが多くなってきたと感じている方や軽度認知症と診断されてしまった方と共に、コグニサイズや指体操、回想法、脳トレプリントなどを行い、認知症の進行を緩やかにし、少しでも長く日常生活が過ごせるように、医師やケアマネ―ジャーなどの他職種と連携を取りながら支援しています。

コグニサイズとは

コグニサイズという言葉を聞きなれない方もいると思います。

コグニサイズとは、国立長寿医療研究センターが開発した、運動と認知課題を組み合わせた、認知症予防を目的とした取り組みのことを言います。

私達は その方にあったコグニサイズを考え、笑顔で楽しく積極的に取り組んでもらえるように日々工夫しています。

まとめ

いかがでしょうか。

簡単な説明ではありますが、訪問看護というものに少しでも興味を持って頂けたらうれしく思います。

また、記事を読む前よりも身近なサービスとして感じて頂けたら幸いです。

  • 介護認定を受けていないし…
  • 病気はあるけど何とか生活できているし…
  • 最近物忘れが多くなってきて不安…
  • 子供に迷惑をかけたくないから将来は施設に…
  • デイサービスやデイケアなど知らない人達と一緒に過ごすのは苦手…
  • 家に医師や看護師が定期的に来てくれたら…

などと感じている方。
是非、 気軽に訪問看護ステーションに連絡をして下さい。

直接の電話に抵抗があるという方は、担当のケアマネージャーや主治医に訪問看護について聞いてみて下さい。

私達訪問看護の一番の仕事は、在宅で介護される方、介護してみえる方の負担を少しでも軽減し、大変な日々の中に笑顔を作り出す事であると考えています。

訪問看護という選択肢があるということ、心の隅にとめて頂けたらと思います。

最後までお読み頂きましてありがとうございました。

訪問看護ステーションマリア

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